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第一章 過去と現在が交差する53

ผู้เขียน: ひなの琴莉
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-01-15 20:00:56

家に帰って手紙を書いていると、母が帰ってきた。

公園で大澤さんに会ったことを伝える。

「そう……」

「でもね、もう少しギリギリまで赤ちゃんのことは考えさせて。お母さん……わがままな娘でごめんね」

「美羽」

ギュッと抱きしめてくれた。

「女として産みたいのは、わかる。……お母さんと一緒に育てようか?」

「いいの?」

「うん。お父さんはなかなか許してはくれないだろうけど、お父さんを一緒に説得しよう」

「ありがとう……お母さん」

抱きしめ合って、涙を流した。

もう、メソメソしていられない。お腹の子供のために、頑張らなきゃ。

二日後、手紙を書き終えた。

『紫藤様

短い間でしたがお世話になりありがとうございました。

私は自分の将来を考えて、子供は産まない決断をしました。

このことは一生誰にも言わない秘密にします。

仕事に励んで頑張ってください。さようなら』

涙を流しながら封をした。

ポストに投函する瞬間。

もう、永遠に大くんに会えないのだと思うと、悲しくて逃げ出したかった。

「大くん……」

短い期間だったけど、見つけてくれて、愛してくれてありがとう。

絶対に、スターになって幸せを世の中に届けてください。

大くん笑顔、怒った顔、泣きそうな顔、リラックスした顔、キスした直後の照れた顔がフラッシュバックのように蘇った――。

ストンと手紙はポストの底に落ちた。

さようなら、大くん。

その後、私が住んでいたアパートは引き払って実家で暮らしはじめた。

新しい携帯にして真里奈に連絡を取り、しばらく実家にいることを伝える。

『そうだったのね。心配したよ。でも、産む決意をしたんだね。安産を祈ってるから』

大学は夏休み期間中を終える前に、休学手続きを取ることにした。

母子手帳をもらって、私は生まれてくる名前を考えていたりしている。

女の子かな。男の子かな。出産への不安はあるけれど、やっぱり、楽しみだ。

早く、成長しないかな。会いたいな。

母が私を妊娠中、こんな気持ちだったのだろうか?

悲しい中でも、前向きに頑張ろうと思っていた。

これから私は母を説得した。なかなか首を縦には振ってくれなかったけれど、最後には宿った命には罪がないと理解をしてくれ、実家で産んで育てることを許してくれたのだ。
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    美羽side結婚パーティーを無事に終えることができ、私は心から安心していた。 私と大くんが夫婦になったということをたくさんの人が祝ってくれたのが、嬉しくて ありがたくてたまらなかった。 しかし私が大くんと結婚したことで、傷ついてしまったファンがいるのも事実だ。 アイドルとしては、芸能生活を続けていくのはかなり厳しいだろう。 覚悟はしていたのに本当に私がそばにいていいのかと悩んでしまう時もある。 そんな時は大きくなってきたお腹を撫でて、私と大くんが選んだ道は間違っていないと思うようにしていた。自分で自分を肯定しなければ気持ちがおかしくなってしまいそうになる。 あまり落ち込まないようにしよう。 大くんは、仕事が立て込んでいて帰ってくるのが遅いみたい。 食事は、軽めのものを用意しておいた。 入浴も終えてソファーで休んでいたが時計は二十三時。 いつも帰りが遅いので平気。 私と大くんは再会するまでの間、会えていない期間があった。 これに比べると今は必ず帰ってくるので、幸せな状況だと感で胸がいっぱいだ。 今日は産婦人科に行ってきて赤ちゃんの性別がはっきりわかったので、伝えようと思っている。手作りのケーキを作ってフルーツの中身で伝えるというささやかなイベントをしようと思った。でも仕事で疲れているところにそんなことをしたら迷惑かな。 でも大事なことなので特別な時間にしたい。

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    「そんな簡単な問題じゃないと思う。もっと冷静になって考えなさい」強い口調で言われたので思わず大澤社長を睨んでしまう。すると大澤社長は呆れたように大きなため息をついた。「あなたの気の強さはわかるけど、落ち着いて考えないといけないのよ。大人なんだからね」「ああ、わかってる」「芸能人だから考えがずれているって思われたら、困るでしょう」本当に困った子というような感じでアルコールを流し込んでいる。社長にとっては俺たちはずっと子供のような存在なのかもしれない。大事に思ってくれているからこそ厳しい言葉をかけてくれているのだろう。「……メンバーで話し合いをしたいと思う。その上でどうするか決めていきたい」大澤社長は俺の真剣な言葉を聞いてじっと瞳を見つめてくる。「わかったわ。メンバーで話し合いをするまでに自分がこれからどうしていきたいか、自分に何ができるのかを考えてきなさい」「……ありがとうございます」俺はペコッと頭を下げた。「解散するにしても、ファンの皆さんが納得する形にしなければいけないのよ。ファンのおかげであなたたちはご飯を食べてこられたのだから。感謝を忘れてはいけないの」大澤社長の言葉が身にしみていた。彼女の言う通りだ。ファンがいたからこそ俺たちは成長しこうして食べていくことができた。音楽を聞いてくれている人たちに元気を届けたいと思いながら過ごしていたけれど、逆に俺たちが勇気や希望をもらえたりしてありがたい存在だった。そのファンたちを怒らせてしまう結果になるかもしれない。それでも俺は自分の人生を愛する人と過ごしていきたいと考えた。俺達COLORは、変わる時なのかもしれない……。

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